ファミリーコーチ PROJECT

多くの患者さんは、病院食を嫌がると思いますが、安心している側面もあります。つまり栄養士が管理してしっかりと決まったカロリーの食事が提供されているからです。自宅に帰るとカロリーの管理は、家族あるいは自分自身が行う必要があるため、患者さんにとって大きな不安の要因の一つです。そのため退院前に主治医や担当栄養士と退院後の食事について十分に相談しておくべきです。具体的な相談項目は、誰が献立を決めて、誰が調理し、誰が盛りつけをするのか?大皿から自分で取り分けるのか、最初から取り分けてあるのか?食事は誰とどこで取るのか?食事時間に制限はあるのか?どれくらい残していいのか?外食は可能なのか?などです。可能ならば退院前に外泊などをして実際に退院後に問題なく食生活を送ることができるのか確認できると良いです。入院中は上手く健康が回復してみえても、退院後はまた悪化傾向になってしまうことはよくあります。この際に、家族が本人に注意をして家族関係が悪化してしまうことがあります。こういった点についても入院中に主治医とよく相談をしておくべきです。摂食障害の治療には役割分担が重要です。基本的には、病気の治療経過を把握し厳しい指導を行うのが主治医になるでしょう。また、主治医を様々な側面からサポートするのが、栄養士、心理士などの医療専門職となります。そして患者本人の悩みを共感して支えていくのが家族の重要な役割です。家族は最後まで本人の味方でいて下さい。本人が、退院前の約束を守っていない場合でも、治療者的立場から指導的な意見を言うのではなく、患者本人を心配しているというメッセージを優しく伝えてあげて下さい。 また、摂食障害という病気の特徴として家族内に強いストレスを生む事がよくあります。例えば、退院後もしっかりと食生活は続けるのですが、その不安の代償行為として家族(主に母親に対してが多い)に患者自身が食べる食事の倍量の食事を要求したりすることがあります。また、家族(兄弟姉妹に多い)にちょっかいや嫌がらせをしたりすることもあります。 患者の食生活を保つことは大切ですが、それを守るために親子関係が逆転(子供(患者)が食事を盾に親を自分の言いなりにする)したりすることは結果的には病気が長引いてしまうことになり、注意が必要です。運動や登校などについても退院前に主治医とよく相談をしておきましょう。どれくらいの運動が可能なのか?退院後すぐに学校へ登校することが可能なのか?予め患者本人も交えて相談をしておくと良いでしょう。

現代は、テレビ、新聞、本、ソーシャルネットワークサービス(SNS)、インターネットなど情報が溢れている時代です。

今回は、摂食障害についての情報をこの溢れかえった情報からどのように、正確に引き出すかを考えます。

 

A. 基本的な考え方は、情報の発信者と情報の根拠の確認です。

この2つについて詳しく見ていきましょう。

 

A−.情報の発信者

情報の発信者は誰かを確認することは重要です。インターネット上の匿名掲示板の情報なのか、きちんと実名で発表された情報なのか(例:◯◯病院小児科部長◯◯医師など)、学会などの団体からの情報なのかを確認します。

きちんとした団体、専門職を持った実名での発表は信頼ができる可能性が高いです。しかし、現在は怪しい団体や実名でも極端に偏った意見を言う専門家もいますので、次の62の情報源の確認が重要になります。

 

A−2.情報の根拠

その情報の根拠は何かを確認します。科学の世界では、専門家が私の経験では・・・と発言している情報は、最も信頼度が低い(信頼されない訳ではありません)情報とされます。多くの科学的な新しい知見は、論文という形で発表されます。そのため、研究結果を示した論文の紹介などきちんとした情報の根拠、情報源が提示されているかを確認します。理想的には、スライドや文書情報がある場合には、次のような引用文献が示されているかを確認します。

 

例1(最も詳細)(Michihata N, Matsui H, Fushimi K, Yasunaga H. Comparison between enteral nutrition and intravenous hyperalimentation in patients with eating disorders: results from the Japanese diagnosis procedure combination database. Eat Weight Disord. 2014;19(4):473-478. doi:10.1007/s40519-014-0147-y.

例2 Michihata NEat Weight Disord. 2014;19:473-478.

例3 (最も短い) (Eat Weight Disord. 2014;19:473.

(最も短い例3でもこれだけの情報で文献は特定できます。)

上記以外の正確な引用文献の記載に従っていない場合は次のような記載方法も見られます。

例4(道端ら2014 Eat Weight Disord.

例5(2014 道端ら)

例4ならばまだ文献を特定出来るかもしれませんが、例5になると困難でしょう。

きちんと情報源を確認するならば、英語論文なら

Pubmed(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed)で論文がちゃんと見つかるか、またその論文を実際に読んできちんとした研究なのかを確かめられると確実です。

日本語論文ならば

医学中央雑誌http://login.jamas.or.jp/

などで調べることが出来ますがPubmedと違い無料では利用できません。

文献まで遡るのは、とても面倒な作業ですし、現実的ではありません。しかし、上記のように情報源が何かを意識して情報が発信されているかを確認するだけでも、きちんとした情報なのか、いいかげんな情報なのかを判断する重要な手段になります。

   

B. 具体例

B-1. インターネット

インターネットの情報の信頼度の判定はとても難しいです。個人的な体験をブログで綴っていることもよくありますが、あくまで個人の体験なので他の一般の方、患者さんにも当てはまるのかは慎重に判断すべきです。

信頼できるインターネットの情報は、次にまとめてあります。

・・・

 

B-2. 本

本もインターネットと同様です。

信頼できる本などは次にまとめてあります。

・・・

 

B-3. テレビ

テレビの情報から真実を入手するのはとても困難です。映像とともに専門家の意見が出てくるので本当と信じてしまいがちです。しかしテレビ局は視聴率のために事実を誇大したりするため鵜呑みにすることは危険です。必ず、別の情報源で確認するようにしましょう。

Coming soon!

日本とアメリカで同じ調査方法で患者数を調べた研究はないため、摂食障害の患者数が日米で違うのかは不明です。

しかし、大きな違いはないのではないかと専門家は考えています。

 

A. 医療施設・診療科

日本では摂食障害を専門とする医療施設はほとんどありません。しかし、アメリカでは、摂食障害専門のクリニックや、施設が沢山あります。

また、アメリカでは思春期診療科という日本ではまだあまり普及していない専門診療科があり、摂食障害の好発年齢の思春期を対象に診療をする医師がいます。また、思春期患者が通院しやすいようなシステムがあります。

 

B. 診療体制

日本では摂食障害の診療のためのトレーニングを受けることが難しいため、摂食障害をきちんと診療できる医師はとても少ないです。また診療ができる医師がいた場合でも独りで診療している場合が多いのが現状です。

アメリカでもどこにでもあるわけではありませんが、多くの専門職が集まって摂食障害の患者さんを治療する病院やクリニックがあります。(要確認)

アメリカでは次の種類の治療プログラムがあります。

 

B-1.Inpatient(入院)

入院治療です。脈が遅い、血液検査に異常がある、自殺企図があるなどの生命危機が強い患者さんが対象になります。日本と違い入院期間は短く通常は、過食症で7-10日、拒食症で2−数週間になります。

 

B-2.Residential Program(居住プログラム)

最大10人くらいの患者さんが施設に寝泊まりして、24時間治療に専念するための施設です。より自宅に近い環境での治療になります。精神的にはまだ不安定でも、生命的な危機が少ない患者さんが対象になります。治療期間は、本人の症状や、加入している保険によっても異なりますが、2週間から1年間になります。

 

B-3. Partial Hospitalization Program (PHP)

Day Program(デイプログラム)と呼ばれることもあります。週に5日間、朝から夕方まで病院にいますが、夜寝る時には自宅に帰るところがInpatient(入院)治療とは異なります。通常、食事も2回は病院で食べます。通常は4-6週間のプログラムになります。

 

B-4. Intensive Outpatient Program (IOP)

外来治療プログラムですが、週に3−5回の頻度で、13時間程度のプログラムです。一緒に夕食を食べたり、グループセラピーなどを行ったりする、集中的な外来治療プログラムになります。本人の症状や、加入している保険によっても異なりますが、通常は4-6週以上のプログラムになります。

 

B-5. Outpatient  (外来)

日本と同様の外来治療になります。最も軽いプログラムです。

日本では、医療スタッフが少ないため、入院中に摂食障害の患者さんの食事をスタッフがつきっきりで観察している病院はほとんどありません。

アメリカでは、患者さんにつきっきりで観察する専属のスタッフがいることが通常です。

日米の診療体制など違いは色々ありますが、やはり摂食障害の有効な治療法が十分に確立されていないため、日米で抱えている問題は同じで、アメリカで治療を受けた方が早く治るとは言い難いようです。